私はラーメン屋の本質にたどり着いた

 数年前、246沿い、オモサンと外苑前の間くらいに新しくできたラーメン屋における出来事である。
 第一印象、厨房の人数明らかに多すぎ、配膳の人数明らかに足らなすぎな、何かが起きることをいかにも予感させる店であった。上記のような地代高いエリア柄、近隣のラーメン屋はぎりぎりの人数で運営していたが、その店は配置バランス上なんかあきらかに人手が浮いていた。にもかかわらず、オペレーション的に浮いてた厨房のおいちゃんおばちゃんは、誰も留学生っぽいウエイトレスを助けようとしない。そのためものすごい勢いでスタッフ間連携が悪く、個々人の丁寧な作業とうらはらに全体のプロセス進行は破綻寸前となっていた。
 結果として、ニンニクラーメンチャーシュー抜きを注文した俺のとこには塩ラーメンがやってきた。しかし俺はそんなことに気づかない(ごめんなさい)。半分くらい食べてようやく注文間違ってることに思い至った。

 ふと周りを見渡すと、、、、もののみごとな修羅場中。事態を飲み込めないウエイトレス、ぎゃあぎゃあ言うだけの厨房のおばちゃん。注文一個ずれただけでエライ騒ぎになってる、、っていうか、俺、微妙に肩身が狭い。なんせ俺の隣の隣には、なかなか塩ラーメンがこないお客さんがいて(結果何も食べず帰っちゃったよこの人)、斜め前には行き場を失ったニンニクラーメンチャーシュー抜きが鎮座している。シチュエーションだけ見ると俺が明らかに諸悪の根源である。

 
 
 
 
しかるに、そのような逆境でこそ、ひとは学びがたき真理にたどり着くことができる。
気づいたのだ、ラーメン屋にもっとも大切な要素であり、上記のラーメン屋に完膚なきまでにかけているもの。それは

 
 
 
 
          ストイシズム  だと!

 
 
 ラーメン屋はストイックでなければならない。「〜ねばならない」という表現を滅多に使わない俺がここまで力入れていうのは、それだけの根拠があってのことである。
 ラーメン屋は薄利多売かつ市場における競合相手が極端に多い商店である。よって、店の個性を打ち出すと同時に、人件費の削減・客回転率の向上などの店舗効率の追求も行わなければならない。この「個性」と「効率」を同時に追い求めるためのキーワードが、「ストイシズム」なのだ。
 当然のことながら、成功するラーメン屋はその存在をもって、個々の「ストイシズム」を表現している。そう、ラーメン屋というのはラーメンを食すだけの空間ではない。この世界に体現されたストイシズムを感受するための空間なのだ。
 ということで、いずれは世に問う予定だった(脳内) 
「ラーメン屋におけるストイシズムに就いて」
の重要な考察ポイントをあえてここに抜粋する。ただし、すでに存在しない店舗や営業形態変わったらしいがあることは全力で無視。
 
 
 一蘭 http://www.ichiran.co.jp/index.html
  → ストイシズムを極限までエンターテインメント化

   ・徹底的に孤独な空間を作り上げることで、ストイックであることを
    エンターテインメントの領域にまで高めつつ、ちゃっかり回転率の
    向上も確保して、成功。
 
 
 吉村家 http://www.iekei.com/
  → トヨタもびっくりのカンバン方式的ストイシズム

   ・映画館みたいな総入れ替え方式による、オートメーション客回転
    システムを作り上げ、その総帥として怒鳴るオヤジ(怖ぇ)が君臨。
    客商売とは思えない恐怖支配のストイック空間を構築し、成功。
    なんてったって家系総本山。
 
 
 大勝軒 http://www.tai-sho-ken.com/top.html
  → 儲かっても決して改築しない孤高の存在感(が、再開発には負け移転…)
 
   ・たとえ客が何百人ならぼうが、いっこうに店を改築しない
    茶の湯の道的ストイシズムを追及し、成功。ってかまぢで
    昭和30年代から改修してないかの如くだった。
    花やしきと共通するシンプルかつストイックなスリルがここに。
 
 
 香月 http://www.kazki.com/
  → ここは公文の教室っすか!?的気合脳力ストイシズム

   ・客の注文をすべて店員の記憶力にゆだねるという
    ブシドー的潔さ、すなわちストイシズムの美学を徹底し、
    さながら店舗そのものを記憶道の道場空間とすることで、成功。
 
 
 がんこラーメン http://www.01ch.com/ramen/ganko16th.html
  → 飲食店なんだから、黒い目張りはどうかと思うぜ!
   
   ・客を呼ぶ気があるのかわからない、黒い目張り。
    そしていつやってるか全然わからない、空き家感。
    これがストイックでなくてなんやと。でもなんか有名店。
    こんな空間他の飲食業にはない!(よね?)
 
 
 
 と、成功しているラーメン屋はかようにストイックなものなのである。 

 と、ゆうようなことを昔考えたことを、明和電機さんのブログみて思い出した。
 http://maywa.laff.jp/blog/2009/09/post-85c2.html