ヴィンランド・サガがすごすぎる。

プラネテス」の幸村誠の歴史モノ「ヴィンランド・サガ」の第8巻が出た。前作とはうってかわって地上を這いずり回る人間達と残酷描写で満載の血なまぐさい物語ではあるものの、幸村誠の作家としてのコアが「プラネテス」と並置することで逆に良く見える「歴史冒険漫画」の新作である。

で、そのへんの前置きはさておき、表紙オビにいきなり「アシェラッド死す」。
アシェラッドというのは、主人公トルフィンの親の仇にして、指導者、のみならず、物語の狂言回し的役回り兼物語を展開させる駆動力として、ここまで7巻にわたって非常に魅力的な悪役として君臨してきたすげぇキレる戦士にして隠れ王子様である(ネタばらしまくり…)。で、前巻終了時点では、バイキングの王子様かついで王様ぶったおすぜ!という展開を見せ、そのための策謀をめぐらし始めたところ…。そのアシェラッド、死んじゃうんだそうです!ってどう考えてもこの巻で最大級のネタバレいきなり買う前から…。

非常にがっくししつつ、とはいえその死に様に興味津々で読み始めたものの、うわ、なにこれ!アシェラッドの死なんてネタバレその1にすぎないじゃん!という急展開、っていうか、ここまで50話以上つみあげたものを、いきなり、そんな…!
 
もうこのエントリ前半でさんざん出したネタバレなんて全部ぶっとぶくらいの一大リセットで終了!!
 
 
これまでずーっとこの、ヴィンランド・サガ北海帝国がらみの歴史モノだと思っていたけれど、実はぜんぜん違うのかもしれません。
 というか、よくよく考えてみれば「北海帝国の歴史モノ」ではないことは最初からわかっていたことなのだけれど、ここ数巻の異常なテンションに押され、そういう物語だと完全に脳内修正はいってたことに気づいた。幸村誠のストーリテリングおそるべし!
それはさておき、ようやく「物語の本筋」に入ったと思われるヴィンランド・サガ。このエントリのネタバレなんて関係ないくらいの面白さなので、読んだことないマンガ好きにはぜひ読んでほしい逸品。また今後の展開がどういう方向に行くのか、ぶっちゃけていうと神話になるのか歴史物語でふみとどまるのか、非常に期待大!

ヴィンランド・サガ(8) (アフタヌーンKC)

ヴィンランド・サガ(8) (アフタヌーンKC)